「いつもの片頭痛だろうと思って薬を飲んでいるけれど、本当は怖い病気なのでは…?」 頭痛持ちの方なら、一度はこんな不安を抱いたことがあるかもしれません。
実は私たち脳神経外科医は、患者様から「頭が痛い」とご相談を受けたとき、頭の中である「暗号(チェックリスト)」を思い浮かべながらお話を伺っています。
それが「SNOOP(スヌープ)」という言葉です。
これは、ただの頭痛(一次性頭痛)なのか、それとも命に関わる危険な病気が隠れている頭痛(二次性頭痛)なのかを見分けるための、世界共通の「レッドフラッグ(危険信号)サイン」の頭文字をとったものです。
今回は少し医療の裏側をお見せするような豆知識として、患者様ご自身でも覚えておくと役に立つ「SNOOP」の秘密を分かりやすく解説します!
危険な頭痛を見逃さない合言葉「SNOOP」
SNOOPは、以下の5つの英単語の頭文字を並べたものです。ご自身の頭痛に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
S:Systemic symptoms(全身の症状・全身の病気)
頭痛だけでなく、「体全体に別の症状」が出ているかどうかのチェックです。
- 発熱がある、体重が急に減った
- がんなどの持病がある、免疫を下げる薬を飲んでいる 風邪でもないのに高熱と激しい頭痛がある場合は「髄膜炎(ずいまくえん)」など、脳の周りに菌が感染している可能性があります。また、がんの治療中の方の頭痛は、脳への転移などを疑う重要なサインになります。
N:Neurologic symptoms(神経の症状)
脳の神経がダメージを受けていることで起こる「見え方や動きの異常」がないかのチェックです。
- 手足がしびれる、片方の手足に力が入らない
- ろれつが回らない、言葉がうまく出ない
- 物が二重に見える、視野の半分が欠ける
- まっすぐ歩けずふらつく これらの症状が頭痛と一緒に現れた場合、脳卒中(脳出血や脳梗塞)や脳腫瘍が強く疑われます。ためらわずにすぐ救急車を呼ぶべきサインです。
O:Onset(突然の始まり)
痛みが「どのように始まったか」という発症のパターンのチェックです。
- 「何時何分に痛くなった」とハッキリ言えるほど、突然痛くなった
- バットで殴られたような、雷に打たれたような激痛(雷鳴頭痛) 痛みが数秒〜1分以内に一気にピークに達する頭痛は「くも膜下出血」の典型的なサインです。「だんだん痛くなってきた」ではなく、「さっきまで何ともなかったのに、突然ガツンと来た!」という場合は非常に危険です。
O:Older(高齢での発症)
頭痛が始まった「年齢」のチェックです。
- 50歳を過ぎてから「初めて」頭痛を繰り返すようになった 若い頃からずっと頭痛持ち(片頭痛など)だった方が、年を取っても頭痛が続くのはよくあることです。しかし、「これまで頭痛なんてほとんど経験したことがなかったのに、50歳を過ぎてから急に頭が痛くなる日が増えた」という場合は、脳の病気や、こめかみの血管に炎症が起きる「側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん)」などの病気が隠れているサインになります。
P:Pattern change(パターンの変化)
これまでの頭痛と「違うパターン」になっていないかのチェックです。
- 「いつもの頭痛」と明らかに痛みの種類や場所が違う
- 日を追うごとに、だんだん痛みが強くなっている
- 咳払い、トイレでいきむ、姿勢を変える(起き上がる・寝転ぶ)ことで痛みが悪化する 「これまでに経験したことのない最悪の痛み」はもちろんですが、「朝起きると痛くて、起き上がって活動していると少し楽になる」という頭痛は、脳腫瘍などによって脳の圧力(脳圧)が上がっているサインの可能性があります。
「SNOOP」に一つでも当てはまったら?
いかがでしたでしょうか。 このSNOOPのうち、「一つでも」当てはまるものがあったり、ご家族から見て「様子がおかしい」と感じたりした場合は、決して市販の痛み止めで我慢せず、すぐに脳神経外科を受診してください。
「でも、もし病院に行って、ただの片頭痛だと言われたら恥ずかしい…」
そんな風に遠慮される患者様も少なくありません。しかし、私たち脳神経外科医からすれば、「検査をして、何も危険な病気が見つからなかった。ただの頭痛で本当に良かった!」と一緒に安心できることこそが、何よりの喜びなのです。
CT完備の当院で、その日のうちに「白黒」つけられます
頭痛の原因が「危険なもの」か「そうでないもの」かを正確に見分けるには、問診(SNOOPの確認)、診察に加えて、脳の中を直接覗く「画像検査(CTやMRI)」が必要になることが多いです。
三重県亀山市のぼのクリニックでは、院内にCT装置を完備しています。 大病院のように何週間も検査を待つ必要はなく、受診されたその日のうちに、数分の検査で脳の出血や腫瘍の有無を確認することが可能です。
長引く頭痛や、いつもと違う頭痛にお悩みの方は、「SNOOP」の豆知識を少しだけ思い出していただき、手遅れになる前にぜひお気軽に当院へご相談ください。脳神経外科専門医として、的確な診断と治療で皆様の不安を取り除くお手伝いをさせていただきます。