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亀山市能褒野町 内科、外科、脳神経外科、リハビリテーション科

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頭痛

ただの頭痛じゃない!片頭痛発作の「全貌」と「4つのステージ」

「ズキズキと脈打つような激しい痛み」 「吐き気がして、光や音がうっとうしい」 「仕事や家事が手につかなくなる」

片頭痛の発作は、本当に辛いものです。このブログを読んでくださっている方の中にも、長年この痛みに悩まされている方が多いのではないでしょうか。

多くの患者さんが「頭痛が起きている時間=片頭痛の発作」と考えています。しかし、実は片頭痛は、痛みが始まるずっと前から、そして痛みが治まった後まで続く、数日がかりの脳のイベントなのです。

「なぜ、急に痛くなるの?」 「痛みが引いた後も、体がだるいのはなぜ?」

その答えは、片頭痛の「時間経過」を知ることで見えてきます。

今回は、片頭痛発作の全体像である「4つのステージ」について、医師の視点で詳しく解説します。敵(片頭痛)の動きを知ることは、今後の対策を立てる上で最強の武器になります。


片頭痛は「嵐」のようなもの

片頭痛の発作は、よく「脳の中の嵐」に例えられます。

  1. 遠くで雷が鳴り始め、空気が変わる(予兆)
  2. 黒い雲が垂れ込め、ピカッと光る(前兆)
  3. 激しい暴風雨が襲来する(頭痛発作)
  4. 嵐が過ぎ去った後、爪痕が残る(後発症状)

このように、片頭痛は4つの段階を経て進行します。それぞれのステージで何が起こり、どう対処すべきかを見ていきましょう。


【ステージ1】予兆期:嵐の前の静けさ

頭痛が始まる数時間前から、長いと1〜2日前に現れる体調や気分の変化です。 「なんとなく調子が悪いな」「いつもと違うな」と感じる、非常に漠然とした症状が特徴です。片頭痛患者さんの約半数〜8割がこの予兆を感じると言われています。

主な症状

脳の視床下部(ししょうかぶ)という、体のバランスを司る部分が乱れることで、様々なサインが現れます。

  • 気分の変化: わけもなくイライラする、気分が落ち込む、逆に妙にハイテンションになる。
  • 体調の変化: 生あくびが止まらない、首や肩がひどく凝る、体がむくむ、やたらとトイレが近くなる(頻尿)。
  • 食欲の変化: 無性に甘いもの(特にチョコレートなど)が食べたくなる、または食欲がなくなる。
  • 感覚の変化: におい、音、光に少し敏感になる。

この時期の過ごし方

この段階で「あ、頭痛が来るかも」と気づけるようになると、片頭痛マスターへの第一歩です。 無理な予定は調整し、睡眠をしっかりとり、ストレスを溜めないように過ごす「省エネモード」に切り替えましょう。「頭痛ダイアリー」をつけて、自分の予兆パターンを知ることも有効です。


【ステージ2】前兆期:嵐の接近を告げるサイン

頭痛が始まる直前(5分〜60分前)に現れる、はっきりとした神経症状です。 これは全ての患者さんにあるわけではなく、片頭痛全体の約20〜30%の人に見られます(前兆のある片頭痛)。

主な症状(最も多いのは視覚症状)

脳の後ろ側(後頭葉)で発生した脳の電気的な波(CSD)が、前の方へ広がっていくことで起こります。

  • 閃輝暗点(せんきあんてん): 最も代表的な前兆です。視野の中心付近に、キラキラ・ギザギザした光の波が現れ、それが徐々に広がっていきます。光が通り過ぎた部分は、すりガラス越しのように見えにくくなります。目を閉じてもこの光は見え続けます。
  • 感覚の異常: 手の指先から腕、そして口元へと、チクチクするようなしびれが移動していくことがあります。
  • 言語障害: 言葉が出にくくなる、言い間違いが増えるといった症状が出ることもあります(稀です)。

注意点!

これらの症状は通常、60分以内に完全に消失し、その直後に激しい頭痛が始まります。もし、しびれや麻痺が1時間以上続く、突然ガツンと症状が出たという場合は、脳卒中など他の病気の可能性もありますので、すぐに救急受診が必要です。


【ステージ3】:嵐の襲来(メインイベント)

いよいよ、激しい痛みが襲ってくる時期です。この期間は治療をしなければ4時間〜72時間(丸3日間)続きます。まさに嵐の真っ只中です。

主な症状

三叉神経(顔の感覚を司る神経)が刺激され、血管が炎症を起こして拡張することで、激しい痛みが生じます。

  • 痛みの特徴: ズキンズキン、ドクンドクンと脈打つような「拍動性」の痛み。多くは頭の片側ですが、両側が痛むこともあります。
  • 痛みの強さ: 中等度〜重度。仕事や家事が手につかない、寝込んでしまうレベルです。
  • 活動による悪化: 歩いたり、階段を昇り降りしたり、お風呂に入ったりするなど、日常的な動作で痛みが悪化するのが大きな特徴です。
  • 随伴症状(ずいはんしょうじょう): 痛みだけでなく、様々な不快な症状を伴います。
    • 吐き気・嘔吐: 胃腸の動きが止まってしまうため、強い吐き気を感じ、実際に吐いてしまうこともあります。
    • 光・音・におい過敏: 普段は気にならない蛍光灯の光がまぶしい、テレビの音がうるさい、香水やタバコのにおいで気分が悪くなる、といった状態になります。

この時期の治療(重要!)

この時期は、暗くて静かな部屋で横になるのが一番楽な姿勢です。 そして、最も重要なのが「薬を飲むタイミング」です。

片頭痛の特効薬である「トリプタン製剤」は、痛みが始まってから、まだ軽いうち(痛みのピークに達する前)に飲むのが最も効果的です。我慢して痛みが激しくなってからでは、薬が効きにくくなってしまいます。 (※最近登場した新しいタイプの薬「レイボー」などは、飲むタイミングを選ばないものもあります。主治医と相談しましょう)


【ステージ4】後発症状期:嵐の爪痕

激しい痛みがようやく治まった後も、体はすぐに元通りにはなりません。嵐が過ぎ去った後の海岸のように、様々な影響が残ります。これを「後発症状」や「片頭痛の二日酔い(ハングオーバー)」と呼びます。

主な症状

この期間は数時間〜1日、長いと2日程度続くことがあります。

  • 疲労感・脱力感: ひどく疲れた感じがして、体がだるい。
  • 集中力・思考力の低下: 頭がボーッとして、仕事に集中できない。霧がかかったような感じ(ブレインフォグ)。
  • 気分の変化: 落ち込んだり、逆に妙にすっきりして活動的になったりすることもあります。
  • 頭皮の違和感: 髪をとかしたり、軽く触れたりするだけで頭皮が痛い(アロニアと言います)。

この時期は「痛くないから大丈夫」と無理をせず、消耗した脳と体をいたわるように、ゆっくり過ごすことが大切です。


まとめ:敵の動きを知れば、対策が変わる

いかがでしたでしょうか。片頭痛は、「痛い時間」だけでなく、その前後を含めた長いプロセスであることがお分かりいただけたかと思います。

自分の片頭痛が今どのステージにいるのかを意識することで、対策は変わります。

  • 予兆期: 無理をせず、体調を整える(予防的行動)。
  • 前兆期: 危険な作業を中断し、薬を飲む準備をする。
  • 頭痛期: 痛みが軽いうちに適切な薬(トリプタンなど)を飲み、静かな場所で休む。
  • 後発症状期: 完全に回復するまで、自分をいたわる。

「いつもの頭痛だから」と諦めず、この時間経過を意識して、医師と相談しながら自分に合った対処法を見つけていきましょう。特に「薬を飲むタイミングが遅すぎたかも」と思い当たった方は、ぜひ次回の診察で主治医に相談してみてください。

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