白衣高血圧と家庭血圧、待合室でのセルフ測定はなぜ大切?
診察室で血圧が高く出てしまう「白衣高血圧」。特に高齢の方は「本当の血圧」が知りたいものです。そこで大切なのが、家庭血圧の測定と、クリニックの待合室に設置されたセルフ血圧計の活用です。
白衣高血圧とは何か?
白衣高血圧(ホワイトコートハイテンション)は、診察室では血圧が高く出るものの、家庭や普段の環境では正常範囲にある状態です。欧米の研究では、診察室で測った血圧が高い人のうち、実際には家庭では正常で「白衣高血圧」にあたる人が約15~30%いると報告されています。参考:Franklin SS. “White-Coat Hypertension: New Insights From Recent Studies” (2013)
家庭血圧測定が重要な理由
家庭血圧は、診察室血圧よりも生活中の血圧変動を反映しやすく、脳卒中や心臓疾患のリスク予測にも優れているとされています。特に診察室血圧と家庭血圧に差がある場合は、家庭血圧を優先して判断するのが望ましいというガイドラインもあります。参考:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
待合室セルフ血圧計のメリット
クリニックの待合室にセルフ血圧計を設置するメリットは以下のとおりです:
- 診察前の緊張を軽減した「自然な状態」での測定が可能。
- 患者自身が自分で測定できることで安心感が得られる。
- 測定データが記録として残り、家庭血圧との比較や診療の判断材料になる。
イギリスでの調査では、多くの患者が「診療前に自分で測る方が安心」と回答し、待合室での自己測定の有用性が報告されています。参考:Tompsonらによる英国での調査(2017)
まとめ:待合室セルフ血圧計、導入の価値は十分
特に高齢者の方には、「診察前に自分のタイミングで血圧が測れる安心感」が非常に大切です。家庭血圧と診察室血圧の違いを理解し、待合室でのセルフ測定を活用することで、無駄な治療を避け、より的確な血圧管理につなげることができます。